
岡嶋二人
先の読めない展開。
殺人の依頼を受けた夫婦は、ちょっと抜けているというか陽気でポップ。
こんな二人が殺人??
殺し屋でもないので、どーなんの?どーすんの?って展開。
半分を少しすぎたときから、一気に加速。
物語が進みだすのだけど、そこまでがゆっくりで退屈ってことはない。
夫婦の会話が楽しいし、ご近所さんとのやりとりも楽しい。
そんな中で殺人計画が進んでいくので、殺人の有無が気になって読ませてくれる。
ネタバレあり。
結果的には、殺人はあり。
だけど、夫婦は殺人者ではない。
寸前で思いとどまる。
だけど、殺そうとした人物が、殺人を依頼してきたオジサンで、その死体を見てビビッてたら部屋に閉じ込められて、扉が開いたと思って自室に戻ると、風呂場にオジサンの死体がある。
どーなってんの?
って展開。
そこから死体の処理をして、オジサンと殺そうとしていた美由紀とオジサンの会社に出入りしていた男の関係が明らかになっていくのだけど、夫婦のちょっとした勘のよさで事件がほどけてゆく。
そこが上手い。
追い詰められていくんだけど、逆転。
1980年代の作品なので時代を感じさせるものが登場した「電話喫茶」
電話を受けたりかけたりできる喫茶店。
携帯電話とか無かった時代だからこそ、情報、連絡手段が限られていたからこそ、そのタイムラグのじれったさが小説を面白くしている。
ハイテク犯罪小説もそれはそれで面白いし、それだからこそのトリックもありだけど、万能になりすぎることでの面白みの消失みたいなものを、岡嶋二人のミステリーを読んで思う。
だけど、彼らの作品には当時の先端のコンピューターをトリックの鍵にしている作品も多いのだけど。
最後に、この小説は、クレジットカードのスキミング犯罪集団の関係者の情夫になってしまった美由紀が、技術系の責任者のオジサンに色仕掛けでせまり、カードを横流しさせていた。
それは、オジサンが、犯罪に係わるのは嫌だ。誰かに横流して、そこから足がついてしまわないように美由紀だけに限定させるため。
しかし、オジサンは横流ししていることへの緊張感がピークに達して、美由紀を殺すように夫婦に依頼。
そんな事情。
ちなみにオジサンを殺したのは、美由紀に思いを寄せていた美由紀の隣人の万太郎という男。
偶発的な事故だったのだけど、夫婦が美由紀を殺そうとしていることに気がついたため、死んでしまったオジサンをうまいこと夫婦に押し付けるトリックを閃く。
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